引き続き、電験三種の過去問を解いていきたいと思います。
今日は電力の配電用変電所の問題です。
なお、問題文については、一般財団法人電気技術者試験センターの以下のサイトで公開されている文章を引用します。
問題
【問題】令和3年度第三種電気主任技術者試験 電力科目 問9
問9 1台の定格容量が 20 MV⋅Aの三相変圧器を 3台有する配電用変電所があり,その総負荷が 55 MWである。変圧器1台が故障したときに,残りの変圧器の過負荷運転を行い,不足分を他の変電所に切り換えることにより,故障発生前と同じ電力を供給したい。この場合,他の変電所に故障発生前の負荷の何 %を直ちに切り換える必要があるか,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,残りの健全な変圧器は,変圧器故障時に定格容量の 120 %の過負荷運転をすることとし,力率は常に 95 %(遅れ)で変化しないものとする。
(1) 6.2 (2)10.0 (3) 12.1 (4)17.1 (5)24.2
Copyright (C) 2008 ECEE.
https://www.shiken.or.jp/answer/index_list.php?exam_type=30
検討
さて、どうでしょうか?
20 MV⋅Aが3台あって、1台壊れたんだよね。残りの2台が120%で動くと、えっと……合わせて48MV・Aだね。55MWに足りない分をもらえばいいんじゃないかな。でも、力率ってどう使えばいいんだろう?
いい線いってますね。問題文の状況をから稼動する変圧器が48MV・Aだと読み取れれば、あとは不足分を求めるだけです。
「力率」は、皮相電力に対する有効電力の割合になります。
有効電力の単位がWであるのに対して、皮相電力の単位はV・Aで表すようです。私などの素人には同じように見えますが使い分けられているようです。
そして、問題文で「力率は常に 95 %」と主張している部分については、負荷のMWは皮相電力に換算して計算するように暗に示していると解釈して良さそうです。
解答
問題文で「総負荷が 55 MW」と言っていますが、つまり有効電力が 55 MWということになります。この有効電力を皮相電力に換算します。
皮相電力は、
$$55[MW] \div 0.95 = 57.89 [MV・A]$$
となります。
さて、変圧器2個分を120%で使うと
$$20[MV・A] \times 1.2 \times 2 = 48 [MV・A]$$
と、48MV・Aになりますので、求める比率は、
$$(57.89 [MV・A] – 48 [MV・A]) \div 57.89 [MV・A] = 0.17$$
となり、約17%ということになります。
- 回答:4
この問題の解きかたはわかったけど、力率の考え方はまだピンとこないな……
まあ、まだ始まったばかりです。徐々に慣れていきましょう。
この問題は力率を使って計算対象の単位を揃えることがポイントですので、皮相電力にそろえて計算する方法ではなくても、一律有効電力に換算して計算する方法でも答えは出せるようです。考えてみて下さい。
今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。
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