以前書かれたこの数検1級の記事では、「この記事のアクセス数が伸びたら数検1級と大学入試の難易度を比較してみる」と仰ってますね。
なぎささんが来る前の頃の記事だね。確かに言ってたね!
当ブログのサイドバーの「人気記事」によると、2022年2月現在、この記事は安定して3位前後に入ってますよね!
そうだね。このブログの中では、かなりいい順位だよね!
ということは、お約束通り、数検1級と大学入試の難易度を比べてみるべきなのではないでしょうか?
「考えてみる」と言っただけで、約束したつもりは無いですが……
それに、私は別に教育産業に関わってるわけでもないので、正確な調査は無理ですよ。
いえ、今はちょうど国立大学入試の2次試験の時期ですし、問題を見比べて数検1級経験者としての所感を書くのに良いタイミングかと。
まあ、なぎささんの提案を拒否するわけにはいかないので、「個人の感想」で良ければ書いてみますか。
ただ、大学入試といっても難易度は様々ですし、それを片っ端から見るというのも……
では、難易度も高く良問も多いという、東京大学前期日程の数学(理科)の入試問題にしましょうか。
東大数学入試問題と数検1級の問題を比較してみるってことで。
「数学(理科)」……?
あ、その「理科」は教科名ではなく、「文科系」「理科系」の区別だと思って下さい。
うーん、まあ、入試問題の代表みたいなものですし、比較対象としては妥当なところですかね。
数学からは10年以上離れている一個人の感想ですので、結果については何の保証もないということでご了承願います。
比較の対象とする問題
数検1級の問題は、本日(2022年2月26日)時点で以下のサイトに載っている問題を対象とします。
1級1次試験は、最初の問題が2個の解の積がわかっている4次方程式の問題で、最後の問題は3重積分を求める問題です。
1級2次試験は、最初の問題が整数の平方数の和についての証明問題で、最後の問題は電気回路の微分方程式の問題です。
東京大学前期日程の数学(理科)の問題は、昨日(2022年2月25日)実施された、以下の「数学(理科)」の問題を対象とします。
最初の問題が、三角関数や対数、積分を含んだ関数の最小値の問題、最後の問題は座標平面上で動く点についてのコイントスによる確率の問題です。
問題の難易度の単純比較
まず、時間制限を無視した難易度の比較です。
どれだけ時間がかかっても良いから解けそうかどうか、という比較です。
ただ、数検1級のほうは、そもそも高校で学ばない内容が含まれています。
なのでここは「標準的な大学入試の数学の問題が解ける人が、順当に大学の数学を学んで適度なレベルの演習問題が解けるようになった場合」と仮定します。
まあ、数検1級の受検生は大学生以上の人でしょうから、内容を履修済であることは前提にしておきたいです。
この比較であれば、難易度の差は明らか。
自明と言っても良さそうな気がします。
易しい順に、「数検1級1次試験」「数検1級2次試験」「東京大学入試数学」です。
「数検1級1次試験」は、時間無制限であれば、今の私でも合格点が取れる可能性もありそうです。問題6は計算が面倒なだけで一本道ですし、問題4も項の数が限られた微分で、時間制限が無ければ何ということもないです。
まあ、計算ミスは怖いですけどね。
「数検1級2次試験」も、全部解こうと思うと厳しいですが、選択問題があるので、点数が取れそうな問題を選べるかどうかです。
問題7など、大学レベルの微分方程式を勉強していないと手も足も出ないでしょうけど、勉強していれば典型問題という気がします。まあ計算すると怪しい分数になるようですが自分の計算力を信じ切れるかどうか。
「東京大学入試数学」は厳しいですね。方針が一切思い浮かばない問題は少なそうですが、完答しきるとなると、見た目では判断できず「やってみないと分からない」問題が多いです。
第1問は方針は簡単そうですが、得てしてこういう問題は計算が複雑になりがちです。計算ミスをしない几帳面さが求められる感じでしょうか。
第5問は、図形のイメージさえ描ければ、z軸を中心とする回転体というのは明らかだから何とかなるかと思ったのですが、やっぱりきついですね。
第6問はベクトルが周期的なので動きがイメージできれば、(1)は数え上げでもいけそうな気がします。そこからどうにか完答に持っていけるか。
それ以外の問題も、一切手をつけられないというのは無さそうですが、完答に向けた解法に気付けるかどうかというのは厳しいところです。
いずれにせよ、一つの問題を解き切るのが厳しい「東京大学数学」に対し、方針さえ気付けば解き切れる可能性が高い「数検1級2次試験」のほうが易しそうです。
合格の難易度の比較
次に、試験に合格する難易度の比較です。
前提として、制限時間と、何問取れれば良いかを確認します。
「数検1級1次試験」は、制限時間60分。得点率70%以上で合格ですので、7問中5問の正解が要求されます。
「数検1級2次試験」は、制限時間120分。得点率60%以上で合格ですので、4問中2問半の正解が要求されます。
「東京大学の理系数学」ですが、理3は人数が少ないので考えないことにします。
以下のサイトを参考にすると、理1と理2は、550点満点中おおよそ310~330点、つまり57%~60%程度の得点が必要です。
ただし、この550点の中にはセンター試験や共通テストの110点が含まれています。
東大合格者であればセンター試験8~9割程度は取るでしょうから、二次試験だけなら大雑把に言って55%程度取れれば良いことになります。
英語・国語・理科の中に苦手教科がある場合は数学で稼ぐ必要がありますが、どの科目でも平均的に取るなら、制限時間150分で「6問中3問半」あたりが合格ラインになりそうです。
これだけ条件が違う試験の比較というのも無理がありますが、あえて個人的な印象を書きます。
「数検1級1次試験」は、問6,7はしっかり取る必要があり、問1,2も、何とか短時間で解法に気付く必要があります。あらかじめ豊富な演習量が欠かせないでしょう。
さらに問3,4,5のどれかを試験会場で取れるかというと……
解き方を知った後で見れば何ということはなかったりもしますが、試験会場では初見の問題なので、時間との勝負が非常に厳しそうですね。
まあ、統計検定の上位級を勉強していて、問5の負の2項分布の平均や分散を覚えていたりすれば、かなり可能性は上がりますが。
「数検1級2次試験」も、統計が得意であれば問題4が選択できるので可能性は高まります。
あとは問1か問5の解法に気付けるか。問2の計算を解き切れるか。
私はおそらく解法には気付かないでしょうから問2を選んで途中でギブアップの可能性が高い気がします。
問7はきっちり解きたいですが、問6は用語を覚えてなさそうです。
「東京大学の理系数学」は、部分点の勝負でしょうね。
私なら完答できる問題はおそらく1~2題あるかないか。部分点を積み上げて55%に届くかというと……結構厳しそうです。
何とか2題完答することができれば、ぐっと合格に近づけるのですが……、私が完答できる可能性があるのがせいぜい問1と問6くらいしかなさそうなので、それらにうまく時間を使って他でどうにか部分点を積み重ねることに活路を見出すしかなさそうです。
とはいえ、記述式で部分点がつきやすい形式という点では、完答が求められる数検1級1次試験に比べると点数が取りやすいとも言えます。
ということで、どれも難しくて比較するのが難しいですが……
あえて難易度の序列をつけるなら、選択問題がある分「数検1級2次試験」が易しく「東京大学の理系数学」「数検1級1次試験」が同じくらいですかね。
「数検1級1次試験」は「一度答えを知ってしまうと意外と簡単」というケースがあるので、運ゲー要素が強そうです。
「数検1級1次試験」は運ゲー要素が強い
数検1級1次試験について、以下のサイトを見つけました。
・数学検定(数検) 1級 1次 解答保管庫
合格率も書かれています。
多くの回では合格率一桁台で、私の感覚と一致しますが、中には1.8%だったり38.2%だったりする回がありました。
私が受かった「2010.11.07」の合格率は7.7%。まあ平均的な難易度だったようです。
ただ、その2回前の「2010.04.11」の合格率が38.2%。
もしこの時に受けていたら史実よりももっと早く受かっていたのでは、という疑念が……
ともかく、回によってこれだけ合格率が変わるのは、運ゲー要素が強い試験と言って良いと思います。
「短時間で解法に気付けるかどうか」というひらめき的な要素が重要になってきます。
まあ、あらかじめ問題演習を豊富にこなす必要がありそうです。
まとめ
「数検1級1次試験」「数検1級2次試験」「東京大学数学(理科)入試問題」の難易度を個人的な印象で比べてみました。
制限時間を考慮しない、問題自体の難易度は、易しい順に、「数検1級1次試験」「数検1級2次試験」「東京大学数学(理科)入試問題」だと思います。
制限時間を考慮して合格点を取れるかの難易度は微妙で、若干「数検1級2次試験」が易しい気はします。
ただ、数検には運ゲー要素があり、比較した問題がたまたま易しかった/難しかったという可能性もあります。
そうですね。では今後も定期的に比較してみましょうか。
いやー、こんな弱小個人ブログでそこまでする必要があるかというと……
まあまた気が向いたらってことで。
本日は以上となります。ここまでお読み下さいましてありがとうございました。