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独立行政法人労働者健康安全機構について【独学での合格を目指す社労士試験勉強ブログ】

社労士試験

労災保険の社会復帰促進等事業で有名な独立行政法人労働者健康安全機構。
今日はこの独立行政法人労働者健康安全機構について取り上げようと思います。



記事の内容

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独立行政法人労働者健康安全機構が行う業務を復習する

想定する読者

  • 1週間前の自分自身(社労士受験生)
  • 私と同じような社労士受験生

例題

問題: 社会復帰促進等事業は、原則として、独立行政法人労働者健康安全機構が統括して行うこととなっている。〇か×か?

えーと、社会復帰促進等事業とくれば独立行政法人労働者健康安全機構! よって〇!

正解は「×」です。

えー違ったっけ?

社会復帰促進等事業で独立行政法人労働者健康安全機構は頻出ですが、社会復帰促進等事業の全てを独立行政法人労働者健康安全機構が行うわけではありません
何が行われるのかを条文に戻って確認しましょう。

労働者災害補償保険法の条文

社会復帰促進等事業の話は、労働者災害補償保険法の条文では以下のようになっています。

労働者災害補償保険法29条
1 政府は、この保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業として、次の事業を行うことができる。
一 療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営その他業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害を被つた労働者(次号において「被災労働者」という。)の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業
二 被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の受ける介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族が必要とする資金の貸付けによる援護その他被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業
三 業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業
2 前項各号に掲げる事業の実施に関して必要な基準は、厚生労働省令で定める。
3 政府は、第1項の社会復帰促進等事業のうち、独立行政法人労働者健康安全機構法第12条第1項に掲げるものを独立行政法人労働者健康安全機構に行わせるものとする。

社会復帰促進等事業のうち、 独立行政法人労働者健康安全機構法に掲げるものを独立行政法人労働者健康安全機構が行う、と明記されていますね。

つまり、 社会復帰促進等事業の全部ではなく、一部のみ労働者健康安全機構が行うことになります。

独立行政法人労働者健康安全機構法

では、独立行政法人労働者健康安全機構法を見てみましょう。

まずは独立行政法人労働者健康安全機構の目的条文です。

「法律の目的」ではなく「機構の目的」ですので、第一条ではなく第三条を見ます。

第三条 独立行政法人労働者健康安全機構は、療養施設及び労働者の健康に関する業務を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他の援助を行うための施設の設置及び運営等を行うことにより労働者の業務上の負傷又は疾病に関する療養の向上及び労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るとともに、事業場における災害の予防に係る事項並びに労働者の健康の保持増進に係る事項及び職業性疾病の病因、診断、予防その他の職業性疾病に係る事項に関して臨床で得られた知見を活用しつつ、総合的な調査及び研究並びにその成果の普及を行うことにより、職場における労働者の安全及び健康の確保を図るほか、未払賃金の立替払事業等を行い、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000171

つまり目的条文で定義されている実施事項は以下の3点です。

  • 療養施設等の設置及び運営等を行う(労働者の業務上の負傷又は疾病に関する療養の向上及び労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るため)
  • 事業場における災害の予防に係る事項、労働者の健康の保持増進/職業性疾病に係る事項に関して、調査研究/成果の普及を行う(職場における労働者の安全及び健康の確保を図るため)
  • 未払賃金の立替払事業等を行う

具体的な業務は第12条に書かれています。

第十二条 機構は、第3条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 療養施設の設置及び運営を行うこと。
二 労働者の健康に関する業務を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他の援助を行うための施設の設置及び運営を行うこと。
三 事業場における災害の予防に係る事項並びに労働者の健康の保持増進に係る事項及び職業性疾病の病因、診断、予防その他の職業性疾病に係る事項に関する総合的な調査及び研究を行うこと(次号に掲げるものを除く。)。
四 化学物質で労働者の健康障害を生ずるおそれのあるものの有害性の調査を行うこと。
五 前二号に掲げる業務に係る成果を普及すること。
六 賃金の支払の確保等に関する法律第3章に規定する事業を実施すること。
七 被災労働者に係る納骨堂の設置及び運営を行うこと。
八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
2 機構は、前項に規定する業務のほか、労働安全衛生法第96条の2第1項の規定による調査及び同条第2項の規定による立入検査を行う。
3 機構は、前2項に規定する業務のほか、これらの項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、行政官庁の委託を受けて、労働者災害補償保険法第7条第1項の保険給付に関する決定に必要な検診を行うことができる。

ということで、分類すると

  • 療養施設などの施設の設置・運営
  • 調査・研究・成果の普及
  • 賃金の支払の確保の事業
  • 立入検査
  • 保険給付に関する決定に必要な検診

ということが書かれています。

なお、上記のうち施設の設置・運営は社会復帰促進事業、未払賃金の立替払事業は、安全衛生・労働条件等確保事業に分類されているようです。

なお、未払賃金の立替払事業の金額が気になったかたはこちらへ↓

逆に、社会復帰促進事業の中でこの中に入っていないことは何でしょうか?

被災労働者等援護事業がありませんね。様々な援護費用の支給です。
金銭面は、賃金の支払の確保等に関する法律による未払賃金の立替払事業のみになっています。

なお、 被災労働者等援護事業のうち小口の資金の貸付けは、超頻出「独立行政法人福祉医療機構」が行っていましたね。
こちらも「独立行政法人」で始まる見慣れた名前です。問題を素早く解こうとするとうっかり間違いやすいですが、ケアレスミスは非常にもったいないので注意しましょう。

まとめ

独立行政法人労働者健康安全機構は、社会復帰促進事業のうち一部を行っています。


重要なものは

  • 療養施設などの施設の設置・運営(社会復帰促進事業
  • 賃金の支払の確保の事業(安全衛生・労働条件等確保事業)

になります。

援護費用の支給や資金の貸付けは上記には入っていませんので注意しましょう。

今日は以上となります。ここまでお読み下さいましてありがとうございました。

免責事項 この記事の内容は個人が勉強のために調査した内容を記載したものであり、正確性を保証するものではありません。当記事の内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
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