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直流分巻電動機の回転速度――平成28年度第三種電気主任技術者試験 機械科目 問1【めざせ電気資格!】

無線・電気

引き続き、電験三種の過去問を解いていきたいと思います。

今日は機械直流分巻電動機の問題です。

なお、問題文については、一般財団法人電気技術者試験センターの以下のサイトで公開されている文章を引用します。

試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター

問題

【問題】平成28年度第三種電気主任技術者試験 機械科目 問1

問1 電機子巻線抵抗が 0.2 Ωである直流分巻電動機がある。この電動機では界磁抵抗器が界磁巻線に直列に接続されており界磁電流を調整することができる。また,この電動機には定トルク負荷が接続されており,その負荷が要求するトルクは定常状態において回転速度によらない一定値となる。
この電動機を,負荷を接続した状態で端子電圧を 100 V として運転したところ,回転速度は 1500\(min^{−1}\) であり,電機子電流は 50 A であった。この状態から,端子電圧を 115 V に変化させ,界磁電流を端子電圧が 100 V のときと同じ値に調整したところ,回転速度が変化し最終的にある値で一定となった。この電動機の最終的な回転速度の値 [\(min^{−1}\)] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし,電機子電流の最終的な値は端子電圧が 100 V のときと同じである。また,電機子反作用及びブラシによる電圧降下は無視できるものとする。

(1)1290   (2)1700   (3)1730   (4)1750   (5)1950

Copyright (C) 2008 ECEE.
https://www.shiken.or.jp/answer/index_list.php?exam_type=30

検討

さて、どうでしょうか?

電圧が大きくなるわけだから、回転速度は速くなる? 15%増えてるから1500より15%多いくらいかな? ……そんな単純じゃないよね、やっぱり……

まあ、数値が色々出てきて混乱しますよね。

今は少しずつ解き方を覚えていきましょう。

さて、この手の問題については等価回路を書くことが基本のようですが、時間の都合もあるので、ここでは書いたことにします。

直流分巻電動機の等価回路は、界磁電流と電機子電流が並列の回路になります。
並列ですから、界磁電流と電機子電流のそれぞれに端子電圧がかかってきます。

電機子電流が流れるほうの電圧降下の式は次のようになります。

誘導起電力を\(E_{a}\)、端子電圧を\(V\)、電機子抵抗を\(r_{a}\)、電機子電流を\(I_{a}\)とした場合、

$$E_{a}=V−r_{a}I_{a} $$

直流分巻電動機に限らず、電動機の種類によってこういった感じの電圧降下の式を立てて値を求める場合が多いようです。
問題によって電機子抵抗が記載されていなかったりしますが、その場合は明かされている値から求めることになります。

解答

さて、この問題では電機子巻線抵抗が 0.2 Ωと明かされています。
端子電圧が100 V の時の電機子電流は 50 A ですので、この時の誘導起電力を\(E_{1}\)とすると

$$E_{1}=100−0.2 \times 50 = 90 [V] $$

となります。

次に端子電圧が115 V に変化した場合を考えるわけですが、電機子巻線抵抗は変化しませんし、この問題では電機子電流も変わりませんので、この時の誘導起電力を\(E_{2}\)とすると

$$E_{2}=115−0.2 \times 50 = 105 [V] $$

となります。

さて、続いて誘導起電力と速度の関係を見ていきましょう。

直流機の場合、\(K \)を定数として、誘導起電力\(E \)・回転速度\(N \)・磁束\(\phi \)の間に以下の関係があります。

$$E=K \phi N $$

定数\(K \)の詳細は、以前記載したこちらの記事になります。

今回の問題では界磁電流の値を同じ値に調整したと言っていますので、磁束\(\phi \)も一定になります。
つまり、誘導起電力と回転速度が比例することになります。

そこまでわかれば、あとは比の計算で答えが出ます。
\(E_{1}\)、\(E_{2}\)に対応する回転速度を\(N_{1}\)、\(N_{2}\)とすると、

$$E_{1}:E_{2}=90:105= N_{1}:N_{2}=1500:N_{2} $$

ですので、求める答えは以下の通りです。

$$N_{2}=1500 \times \frac{105}{90} = 1750 $$

  • 解答:4

今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。

免責事項 この記事の内容は個人が勉強のために調査した内容を記載したものであり、正確性を保証するものではありません。当記事の内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
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