引き続き、電験三種の過去問を解いていきたいと思います。
今日は機械の誘導電動機の問題です。
なお、問題文については、一般財団法人電気技術者試験センターの以下のサイトで公開されている文章を引用します。
問題
【問題】令和元年度第三種電気主任技術者試験 機械科目 問3
問3 4極の三相誘導電動機が 60 Hzの電源に接続され，出力 5.75 kW ，回転速度\(1656 min^{−1}\) で運転されている。このとき，一次銅損，二次銅損及び鉄損の三つの損失の値が等しかった。このときの誘導電動機の効率の値 [％] として，最も近いものを次の(1)～(5)のうちから一つ選べ。
ただし，その他の損失は無視できるものとする。
(1)76.0 (2)77.8 (3)79.3 (4)80.6 (5)88.5
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https://www.shiken.or.jp/answer/index_list.php?exam_type=30
検討
さて、どうでしょうか？
効率ってこの前の誘導機の問題でやったよね。すべりさえわかればできそうな気がする。60Hzで4極だから、えっと……1800？ あれ、でも1656ってことは、すべった分だけ遅くなってるんだよね。割り算すればいいのかな……わかんないや。
自信持って下さいね。その方針のまま進めばこの問題はちゃんと解けます。
確かに誘導機の効率の問題は先週一度解いています。
この時は滑りが問題文で与えられましたが、今回は滑りを自分で求める必要があります。
滑りの値は回転速度から出るのですがちょっと度忘れしましたかね。あらためてしっかり覚えておきましょう。
同期速度を\(N_{s}\)、回転速度を\(N\)とした場合の滑りsの値は以下の通りになります。
$$s = \frac {N_{s}-N}{N_{s}} $$
極数と周波数から同期速度は出ますので、滑りも簡単に計算できます。
あとは、「三つの損失の値が等しかった」と言っているので何とかなりそうですね。
なお、誘導電動機の滑りについては、以下の関係をしっかり思い出して下さい。
誘導電動機の二次入力を\(P_{2i}\)、二次出力を\(P_{2o}\)、二次銅損を\(P_{c2}\)とする場合に、
$$P_{2i}：P_{2o}：P_{c2}=1：(1−s)：s $$
解答
この誘導電動機の同期速度を\(N_{s}\)とすると、以下の通りになります。
$$N_{s}=\frac {120 \times 60}{4} = 1800 [min^{-1}] $$
従って、滑りsの値は
$$s=\frac {1800 – 1656}{1800} = 0.08 $$
となります。
さて、二次出力を\(P_{2o}\)、一次銅損を\(P_{c1}\)、二次銅損を\(P_{c2}\)、鉄損を\(P_{f}\)とすると、
これ以外の損失は無視できますので、一次入力はこれらの和となります。
また、\(P_{2o}：P_{c2}=(1−s)：s = 0.92 : 0.08 \)の関係と、「一次銅損・二次銅損・鉄損が等しい」という問題文の条件を使えば、実は二次出力の値を使わなくてもこの問題は解くことができます。
滑りの関係式から、\(P_{c2}=P_{2o} \times \frac{0.08}{0.92} \)であり、かつ\(P_{c1}=P_{c2}=P_{f}\)を使うと、求める効率の値は以下の通りになります。
$$効率= \frac{P_{2o}}{P_{2o}+P_{c1}+P_{c2}+P_{f}} = \frac{P_{2o}}{P_{2o}+3 \times P_{2o} \times \frac{0.08}{0.92}}=0.793 $$
- 解答：3
今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。
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