引き続き、電験三種の過去問を解いていきたいと思います。
今日は機械の同期発電機の問題です。
なお、問題文については、一般財団法人電気技術者試験センターの以下のサイトで公開されている文章を引用します。
問題
【問題】平成25年度第三種電気主任技術者試験 機械科目 問6
問6 定格電圧 6.6 [kV] ,定格電流 1050 [A] の三相同期発電機がある。この発電機の短絡比は 1.25 である。
この発電機の同期インピーダンス [Ω] の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.80 (2)2.90 (3)4.54 (4)5.03 (5)7.86
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https://www.shiken.or.jp/answer/index_list.php?exam_type=30
検討
さて、どうでしょうか?
電圧と電流から割り算で抵抗を出す……なんて単純な問題じゃないよね? やっぱり……
いや、色々難しいことを抜きにすれば「割り算」の問題であってますよ。何を何で割るかの問題です。
三相同期発電機での「短絡比」と「同期インピーダンス」の用語の定義を覚えておかないと難しいところですね。
せっかくなのでこの機会に覚えることにしましょう。
インピーダンスは抵抗とリアクタンスを含めたものになりますが、三相同期発電機の同期インピーダンス\(Z_{s}\)は以下のようになります。
$$Z_{s}=\frac{V_{n}}{\sqrt{3}I_{s}}$$
ここで、\(V_{n}\)は定格電圧、\(I_{s}\)は、無負荷時に定格電圧が発生する界磁電流に対応する短絡電流を指します。
無負荷時に定格電圧が……? 妙にややこしいね……
はい、初見だと\(I_{s}\)が何を言ってるかわかりません。問題を解きながら慣れていきましょう。
このあたりは参考書などでは無負荷飽和曲線と短絡曲線のグラフで説明されています。
ともあれ、同期インピーダンスは電圧を電流で割ったものですが、定格電圧の\(1/\sqrt{3}\)を、定格電流ではなく「定格電圧の界磁に対応する短絡電流」で割ることがポイントになります。
なお、ここで出てくる\(1/\sqrt{3}\)は、Y結線の線間電圧を相電圧に直したものだと思えば良いと思います。
おそらく、定格電圧などで測定できる値は基本的に線間電圧であり、とはいえ計算は相ごとに行うために\(\sqrt{3}\)で割る変換が必要になるのでしょう。
続いて短絡比について。
短絡比は、先ほど出てきた\(I_{s}\)が、定格電流\(I_{n}\)の何倍になっているかという比になります。
$$短絡比=\frac{I_{s}}{I_{n}}$$
ちなみに、この分野の用語には百分率同期インピーダンスといわれる値も出てきます。
百分率同期インピーダンスは短絡比の逆数をパーセントで表したものになります。
とはいえ、曖昧に暗記すると、おそらく短絡比と百分率同期インピーダンスの分子と分母のどちらがどちらだったか混乱することになると思われます。
なので、今日のところは百分率同期インピーダンスには詳しく触れないことにします。
短絡比は、定格電流\(I_{n}\)を基準として、短絡電流\(I_{s}\)がその何倍になっているかを表すことだけしっかり覚えておきましょう。
解答
ということで問題の解答は以下のようになります。
まずは定格電流 1050 [A]と短絡比 1.25から\(I_{s}\)を出します。
短絡比が1.25ということは定格電流の1.25倍と言っていますので掛け算をすれば出ます。
$$I_{s}=1050 \times 1.25 = 1312.5 [A] $$
ということは、同期インピーダンス\(Z_{s}\)は以下のようになります。
$$Z_{s}=\frac{V_{n}}{\sqrt{3}I_{s}} = \frac{6600 }{\sqrt{3} \times 1312.5} = 2.90$$
- 解答:2
今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。
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