さて、今回は数検1級を振り返ってみます。
数検1級には、1次試験と2次試験とがあります。
両方とも合格することにより晴れて1級合格になります。
1次試験と2次試験の片方だけ合格してもう片方が不合格の場合、次回以降の試験では、合格したほうの試験を免除することができます。
私は1級を受け始めてから3回目で2次試験に合格、4回目で1次試験にも合格し、1級取得となりました。
日付 | 級 | 1次試験 | 2次試験 |
2009/4/12 | 1級 | 4/7 | 1.4/4 |
2009/7/26 | 1級 | 4/7 | 2.0/4 |
2010/7/25 | 1級 | 3/7 | 3.0/4 |
2010/11/7 | 1級 | 5.5/7 | (2次免除) |
この記事を書いた2021年時点で既に10年経っているのですっかり忘れていましたが、この数検1級は合格率5%程度の難関試験でした。
今回記事にするために過去の記録を振り返って、合格するまで散々苦労したことを思い出しました。
喉元過ぎれば熱さを忘れるとはよく言ったものです。
今回の記事では、数検1級の難しさについて語りたいと思います。
数検1級は簡単だという意見
ネットで数検1級の経験談を検索すると、時々「1級は意外と簡単だった」という論調の意見も出てきます。
数検1級を実際に勉強している人はわかっていると思いますが、数検1級は難しいです。
もちろん世の中に合格者は大勢いるわけですから、中には「簡単」だと思える人もいるとは思います。
ですが、そういった人は、多くの場合、何か特別な背景を持っています。
例えば、数学系の大学院生だったり、高校時代から趣味で大学の数学を勉強していた人だったり、何かしら数学に関係した特殊な環境があることが多いです。
数検1級を受ける人は、大半は準1級に既に合格しているか、その程度の実力は持っている人です。
そんな人たちが受けて合格率5%程度ですから、客観的に見たら「難しい」という評価が適切なはずです。
まあ、最近は合格率が10%を超えることもあるみたいですが、大多数が落ちることには変わりはないです。
数検1級が受かる実力
数検1級に受かるには数学の学力がこれくらいあれば良い、というのを考えてみます。
知識としては、少なくとも理系の高校数学は履修済で、大学数学のうち、微分方程式、行列の対角化、複素数平面、重積分、広義積分といったあたりの知識を持っている必要があります。
とはいえ、大学の理系の学部に進学したのなら、多くの人は前期課程の数学で履修する内容かもしれません。
なので、理系の大学生以上で真面目に数学の単位を取っている人であれば、知識としては問題ないと思います。
ただ、これらの知識を持っていて、かつ、ミスの少ない素早い計算力が必要になってきます。
1次試験での計算ミスは致命傷になりますので、素早く問題を解く中でも計算ミスを少なくすることが必要です。
言うのは簡単ですが、1次試験は60分で7問解くのだから、単純計算でも1問8分です。高校数学の基本問題ならともかく、大学入試~大学数学レベルの大問1問を8分でノーミスで解くというのは、普通の試験問題を解く時とは一味違った意識が必要になってきます。
数学検定を目標として問題演習を重ねる必要があると思います。
数学系の学部に所属していた人なら楽に合格ラインに達するのかもしれませんが、それでも1次試験のような「短時間に処理する」という作業を普段からしている人はあまりいないと思いますので、数検に向けた対策は必要になってくると思います。
高校数学の知識は前提として使いますので、文系で数学を使わなかった人よりも、大学入試数学で揉まれていた人のほうが断然有利ですが、その上で大学数学の演習も必要になります。
数検1級は漢検1級より難しいかどうか
数検1級と漢検1級のどちらが難しいかを比較してみたいところですが、バックボーンによるので一概には言えません。
数検1級は、最低限、高校の理系の数学を履修していることは前提で、大学での数学のうち、微分方程式、行列式といった内容も押さえておく必要があります。
ですので、そういったことを履修している理系の人と、それ以外の人とでは、体感難易度には雲泥の差があるでしょう。
準1級と1級の差にはそういった、「理系学生が数年間かけて学ぶ内容」が含まれますので、「数検1級が漢検1級より遥かに難しい」という評価があっても不思議では無いでしょう。
逆に理系学生からしてみると、漢検1級のほうが難しいう意見も出てくると思います。
漢検のほうは、量こそ増えるものの、学校で勉強するものとは基本的に別枠ですからね。
なので、私の結論は以下のようにシンプルになります。
・文系の人にとっては漢検1級より数検1級のほうが難しい
・理系の人にとっては数検1級より漢検1級のほうが難しい
ここでいう文系・理系は、高校の時に文理に分かれていた場合にどちらを履修したかの話になります。
大学以降で文転・理転した場合についてはあまり考慮していません。
まあ、大学の範囲が含まれるとはいえ、高校の微分積分(数学III)あたりの演習量の影響が大きいという感じです。
数検は入試問題より難しいかの検討は断念
「数検と大学入試の比較」というテーマも私の独断と偏見で考えてみようと思いましたが、今回は断念します。
難しいかどうかの難易度といっても、以下のように色々な見方が出来ます。
- 問題を、時間をどのくらいかけるか気にせず解くまでの難易度
- 問題を、制限時間中に解けるかどうかの難易度
- 試験に合格できるかの難易度
入試問題は、色々な学力レベルの人が受ける試験で、合否は数学以外の教科も含めた総合点で決まるため、単独で「合格・不合格」を決められる性質のものではありません。
また、数検1級には大学入試の範囲外の問題も多々あるため、その難易度の評価をどうするかということも考えなくてはいけません。
まあ、体感的に、
- 数検1級の1次試験は時間をかければそこまで難しくない
- 数検1級の2次試験も、範囲が広くなっているだけでそこまで難しくない
- 数検はうっかりミスが致命傷になる。
- 大学入試は記述式であればミスがあっても部分点で救われやすい。
- 合格難易度は数検1級のほうが圧倒的に難しい
といった感じではありますが、あらためてじっくり問題を解いてみないとわからない部分も多いでしょう。
こういった「昔を振り返る」記事の中ではなく、別途時間を取って実施したほうが良さそうです。
と言いつつ、アニメとか他の検定とかでそんなのする暇ないんじゃない?
すぐとは言ってないよ。何年後かにまた書きたくなることもあるだろうし。
そこまでブログ続く? 私としては続いて欲しいけど……
とりあえず、この記事のアクセス数が伸びたら考えるってことにしとこうか。
2022年追記:以下の記事をアップしました。
合格に向けて勉強するには
数検1級の勉強をしようと考えるなら、とりあえず過去問を手に入れるのが最優先です。
過去問を見て、苦手とする分野があれば、これまでの高校・大学で使用した教材を振り返りましょう。
適切な教材を持ってない人は、やはり数検に特化した対策問題集が良いのではないでしょうか。
苦手分野があれば、そちらの問題集を攻めるのもありです。
ただ、もし完全文系の人が数検1級を目指す場合、どうステップアップしたら良いかは正直わかりません。
文系で準1級を突破したのであれば、その時点で既にご自分の勉強法を確立していると思いますので、そのまま進んでいけば良いと思います。
まとめ
数検1級は普通に考えれば難易度は高いです。
ですが、理系大学の数学履修済の人にとっては、手が届かないほどでは無いと思います。
- 文系の人にとっては漢検1級より数検1級のほうが難しい
- 理系の人にとっては数検1級より漢検1級のほうが難しい
計算ミスに気を付けて頑張って下さい。
今日は以上となります。ここまでお読み下さいましてありがとうございました。