引き続き、電験三種の過去問を解いていきたいと思います。
今日は電力の百分率リアクタンスの問題です。
なお、問題文については、一般財団法人電気技術者試験センターの以下のサイトで公開されている文章を引用します。
問題
【問題】令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問6
問6 定格値が一次電圧 66 kV ,二次電圧 6.6 kV ,容量 30 MV⋅A の三相変圧器がある。一次側に換算した漏れリアクタンスの値が 14.5 Ω のとき,百分率リアクタンスの値 [%] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)3.3 (2)5.8 (3)10.0 (4)17.2 (5)30.0
Copyright (C) 2008 ECEE.
https://www.shiken.or.jp/answer/index_list.php?exam_type=30
検討
さて、どうでしょうか?
百分率リアクタンスって……なんだっけ。とりあえず定格電圧と容量があるから、なんとかして定格リアクタンスを出せばいいのかな……?
電験の勉強を始めたばかりだと、とりあえず「百分率リアクタンス」という用語で詰まってしまいますよね。まだ時間はあるので少しずつ進みましょう。
以前、同期インピーダンスの問題を解いたことがありました。
このときちらっと、「百分率同期インピーダンス」は「短絡比の逆数」ということを言いました。
今日はそのあたりを少し掘り下げましょう。
問題文では「百分率同期インピーダンス」ではなく「百分率リアクタンス」と言ってますが、そのあたりはこだわらないことにします。きっと、インピーダンスの抵抗成分を考慮しなければリアクタンスになるのでしょう。
短絡比は、短絡電流\(I_{s}\)が、定格電流\(I_{n}\)の何倍になっているかという比でした。
$$短絡比=\frac{I_{s}}{I_{n}}$$
百分率インピーダンス\((\%Z)\)は、あるインピーダンスが基準インピーダンス\((Z_{BASE})\)の何%になっているかという割合になります。
$$\%Z=\frac{Z}{Z_{BASE}} \times 100 $$
これが短絡比の逆数になるというのは、大雑把にいえば、電圧が一定の場合に電流と抵抗が反比例するというようなイメージでしょう(違っていたらすみません)。
さて、基準インピーダンスは、定格電圧・定格電流を使うと、以下のように表されます。
$$Z_{BASE}=\frac{V_{n}}{\sqrt{3}I_{n}}$$
三相ですから定格電圧は相電圧の\(\sqrt{3}\)倍ということです。
さらにこれを電流を使わずに基準容量\(P_{n}\)を使って表すと、以下のようになります。
$$Z_{BASE}=\frac{V_{n}^{2}}{P_{n}}$$
これは電力と電圧と抵抗の関係のイメージですね。三相の\(\sqrt{3}\)が\(V_{n}\)の中に込められているイメージでしょうか。
ともあれ、これを使うと百分率インピーダンス(\(%Z\)は以下のようになります。
$$\%Z=\frac{P_{n}Z}{V_{n}^{2}} \times 100 $$
百分率リアクタンス(%X)も、きっと同様にすれば良いのでしょう。
$$\%X=\frac{P_{n}X}{V_{n}^{2}} \times 100 $$
ここでXは問題文中の漏れリアクタンスに該当します。
解答
百分率リアクタンス\(\%X\)は、以下の式に問題文の数値を代入して求めます。
$$\%X=\frac{P_{n}X}{V_{n}^{2}} \times 100 $$
ここで\(P_{n}=30 \times 10^{6}\)、 \(V_{n}=66 \times 10^{3}\)、\(X=14.5\)ですので、
$$\%X=\frac{(30 \times 10^{6}) \times 14.5}{(66 \times 10^{3}) ^{2}} \times 100 = 9.986$$
となります。
- 解答:3
今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。
免責事項 この記事の内容は個人が勉強のために調査した内容を記載したものであり、正確性を保証するものではありません。当記事の内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。