引き続き、電験三種の過去問を解いていきたいと思います。
今日は電力の汽力発電設備のタービン効率の問題です。
なお、問題文については、一般財団法人電気技術者試験センターの以下のサイトで公開されている文章を引用します。
問題
【問題】令和4年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問3
問3 ある汽力発電設備が,発電機出力 19 MW で運転している。このとき,蒸気タービン入口における蒸気の比エンタルピーが 3550 kJ/kg ,復水器入口における蒸気の比エンタルピーが 2500 kJ/kg ,使用蒸気量が 80 t/h であった。発電機効率が 95 % であるとすると,タービン効率の値 [%] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)71 (2)77 (3)81 (4)86 (5)90
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https://www.shiken.or.jp/answer/index_list.php?exam_type=30
検討
さて、どうでしょうか?
kJ/kgの値が2個あるから、その差を取って質量をかければいいんじゃないかな。効率が2つあるけど、全体の量に効率をかけたものが出力になりそうだよね。
はい、方針はあってるようですね。計算を正確にできるかの勝負になりそうです。
でも、エンタルピーをエネルギーと同じように考えていいのか正直わからないけど……
エンタルピーについてですが、今回目指すのは熱力学の資格試験では無いわけですし、火力発電あたりにしか出ない概念ですから「エネルギーもどき」のようなイメージだと思っていいのではないでしょうか。
蒸気タービン入口での値よりも復水器入口での値が小さくなっていますが、その分だけ熱量が蒸気タービンで使われたと考えれば良いと思います。
ちなみに、汽力発電設備「復水器→給水ポンプ→ボイラ→タービン→復水器」のサイクルは押さえておきましょう。
発電機効率とタービン効率って、効率が2つあるのも気になるよね。
まあ、慣れるまではとりあえず効率が2個ある場合は掛け算かなと思っておけば良いかと。もちろん違うパターンもあると思いますが、問題の雰囲気からそれなりに見当がつくでしょうし、演習を重ねていけばそのうち違いがわかってくると思います。
解答
タービン効率をηとして発電機出力を出す式を立ててみます。比エンタルピーの単位が[kJ/kg]ですので、発電機出力の単位も[kW]で揃えておきます。
$$19 \times 10^{3}=(3550-2500) \times \frac{80 \times 10^{3}}{3600} \times η \times \frac{95}{100}$$
これを解くと
$$η = 0.857$$
となります。
- 解答:4
今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。
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