今日は連帯債務の話です。
2000万円の借金があり、それが友達5人による連帯債務だとします。
って、ちょっと待って。そのシチュエーションって……!
はい、トモダチゲームの最初の状況に、人数と金額を合わせてみました。
さて、その友達のうちの一人に対する効力が、他の人にも及ぶかどうかを見てみましょう。
例題
問題:
5人(A,B,C,D,E)が債権者Fに対して2000万円の連帯債務を負っている場合に、次のうち各行為の効力がEに対して生じるものはどれでしょう。
- FがAに対して履行の請求をした場合
- BがFに対して400万円を弁済した場合
- FがCに対して債務を免除した場合
- Dのために消滅時効が完成した場合
えーと、一部の人の時効が完成したら債務は減るんじゃなかったっけ……?
それは民法改正前の話ですよ。
絶対効と相対効
2020年4月に民法大改正が行われています。
2019年までに行政書士試験の勉強をしたような人も、その時の民法の知識は改正前ですので、きちんと覚えなおすようにしましょう。
絶対効
絶対効は、弁済・更改・混同・相殺です。
明らかに債務の総額が減るケース(弁済・相殺)や、そもそもの債務が変更にならざるを得ないケース(更改、混同)です。
この4つを覚えておいて、それ以外は相対効と判断しましょう。
債務の免除や消滅時効完成があった場合、連帯債務の総額が減りそうに見えますが、それは民法改正前の感覚です。減りません。
よって、例題の中でEに効力が生じるのは「弁済」のみで、想定する回答は「2.BがFに対して400万円を弁済した場合」となります。
あれ? Bが400万円払ったら総額は1600万円になるけど、残りのA,C,D,Eの負担部分は400万円ずつで変わらないんじゃないの?
いえ、その考え方は少し違っているようです。
もともとFに対する連帯債務は「2000万円」ですが、弁済によって「1600万円」になりますので効力が生じています。
この場合、別にBが債務の免除をされたわけではなく、400万円払ったBは、A,C,D,Eに80万円ずつの求償をすることができますが、Fに対する1600万円の連帯債務は続くわけです。
相対効
相対効は、絶対効以外の事由であり、請求、時効の完成、債務の免除などが該当します。
連帯債務は、債権者側からは誰に対しても全額を請求できます。その「全額」は一部の人に債務の免除をした後でも変わらないのです。
もっとも、一部の人が債務の免除をされた場合、通常は残った人の負担部分が増えますので、その点では影響を受けたような気もしてしまいますが……
なお、この増えた負担部分は、債務免除された人に対して請求できることになっています。
まあ、免除されたからといって、一人だけ得するというわけにはいかないのです。
まとめ
連帯債務の絶対効は、弁済・更改・混同・相殺です。
それ以外の事由(請求、時効の完成、債務の免除など)は、相対効となり、他の債務者に影響を及ぼしません。
今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。
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