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女性が働いてはいけない仕事とは【独学での合格を目指す社労士試験勉強ブログ】

社労士試験

男女雇用機会均等法では、「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」としています。

しかし、それに真っ向から対立するかのように、労働基準法には、女性に就かせてはいけない業務が決められています。


今日は、労働基準法と女性労働基準規則により、女性が就いてはいけない業務を見てみましょう。


例題

問題: 労働基準法によると、女性に就かせてはいけない業務は何でしょう?

えーと、わかった! 相撲取りでしょう! 女性は土俵に上がったらいけないって聞いたことあるよ!

そう言われるとそんな気もしてきますが、おそらくそれは日本相撲協会か何かで決められたルールだと思います。
労働基準法および女性労働基準規則によると、どんな女性でも働いてはいけない仕事は、以下の通りになります。

  • ある一定重量以上の重量物を取り扱う業務
  • 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、シアン化水素、アニリンその他これに準ずる有毒物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

また、 坑内での掘削又は掘採の業務も、法律条文では「18歳以上の女性」となっていますが、実質的に全ての女性が禁止になります。

重量物を取り扱う業務

ある一定重量以上の重量物を取り扱う業務とは、以下の重量以上になります。

  • 断続作業の場合
    • 満16歳未満 ⇒ 12kg
    • 満16歳以上18歳未満 ⇒ 25kg
    • 満18歳以上 ⇒ 30kg
  • 継続作業の場合
    • 満16歳未満 ⇒ 8kg
    • 満16歳以上18歳未満 ⇒ 15kg
    • 満18歳以上 ⇒ 20kg

えー! 女性だと重い物を持っちゃだめなのー? オリンピックでウエイトリフティング女子とかあったよねー?

いや、これは「業務」の話ですから。そういう重いものを取り扱うのが業務ならNGですが、オリンピック競技なら大丈夫でしょう。

でも、じゃあ、プロのウエイトリフティング女子選手っていうのはダメなの?

業務とは意味合いが違う気もしますが……プロだと業務なんですかね。まあ、難問ですね。ちょっと今答えはわかりませんが、たぶん社労士試験では出ないでしょう。

有害物を発散する場所における業務

もう一つ、この仕事もすべての女性がダメです。

  • 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、シアン化水素、アニリンその他これに準ずる有毒物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

えっと、じゃあ、化学の先生になれないのー? 理科の実験室に鉛とか塩素とかありそうだよー!

いや、ダメなのは「発散する場所」です。化学物質を取り扱う研究室もあるでしょうが、研究室自体からそういう物質が発散してるわけではないです。まあでも鉱業は場所によってはダメでしょうね。

坑内の業務

18歳以上の女性がダメというケースもあります。

坑内の業務の一部です。

坑内の業務とは、地下の通路を使って、鉱山の採掘や、トンネルの工事をしたりする業務です。
このうち、以下の業務は、満18歳以上の女性に就かせることはできません。

  1. 人力により行われる土石、岩石若しくは鉱物(以下「鉱物等」という。)の掘削又は掘採の業務
  2. 動力により行われる鉱物等の掘削又は掘採の業務(遠隔操作により行うものを除く。)
  3. 発破による鉱物等の掘削又は掘採の業務
  4. ずり、資材等の運搬若しくは覆工のコンクリートの打設等鉱物等の掘削又は掘採の業務に付随して行われる業務(鉱物等の掘削又は掘採に係る計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、保安管理その他の技術上の管理の業務並びに鉱物等の掘削又は掘採の業務に従事する者及び鉱物等の掘削又は掘採の業務に付随して行われる業務に従事する者の技術上の指導監督の業務を除く。)

17歳ならいいんだー!

「反対解釈」ではそうなってしまいますが、労働基準法63条に「使用者は、満18歳に満たない者を坑内で労働させてはならない。」とあります。17歳の場合は坑内すべての業務が禁止になります。

坑内の業務についてはこの決まりがあるため「18歳以上」としているのですが、まぎわらしいですね。

なお、妊娠中の女性と、従事しないことを使用者に申し出た産後1年以内の女性には、坑内で行われるすべての業務に就かせることができません

採掘じゃないといっても、妊産婦は坑内に入ること自体が危ないとみなされているようです。

妊産婦でなければ、坑内で仕事をすること自体は大丈夫なのでしょう。

危険有害業務の就業制限

さて、妊娠中の女性や産後1年経過しない女性に就業制限がある業務は色々あります。

妊娠中の女性は、以下の24業務に就業させることができません。

  1. 重量物を取り扱う業務
  2. ボイラーの取扱いの業務
  3. ボイラーの溶接の業務
  4. つり上荷重が5トン以上のクレーン、デリック又は制限荷重が5トン以上の揚貨装置の運転の業務
  5. 運転中の原動機又は原動機から中間軸までの動力伝導装置の掃除、給油、検査、修理又はベルトの掛換えの業務
  6. クレーン、デリック又は揚貨装置の玉掛けの業務(2人以上の者によって行う玉掛けの業務における補助作業の業務を除く。)
  7. 動力により駆動される土木建築用機械又は船舶荷扱用機械の運転の業務
  8. 直径が25cm以上の丸のこ盤(横切用丸のこ盤及び自動送り装置を有する丸のこ盤を除く。)又はのこ車の直径が75cm以上帯のこ盤(自動送り装置を有する帯のこ盤を除く。)に木材を送給する業務
  9. 操車場の構内における軌道車輌の入替え、連結又は開放の業務
  10. 蒸気又は圧縮空気により駆動されるプレス機械又は鍛造機械を用いて行う金属加工の業務
  11. 動力により駆動されるプレス機械、シャー等を用いて行う厚さが8mm以上の鋼板加工の業務
  12. 岩石又は鉱物の破砕機又は粉砕機に材料を送給する業務
  13. 土砂が崩壊するおそれのある場所又は深さが5m以上の地穴における業務
  14. 高さが5m以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務
  15. 足場の組立て、解体又は変更の業務(地上又は床上における補助作業の業務を除く。)
  16. 胸高直径が35cm以上の立木の伐採の業務
  17. 機械集材装置、運材索道等を用いて行う木材の搬出の業務
  18. 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、シアン化水素、アニリンその他これに準ずる有毒物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
  19. 多量の高熱物体を取り扱う業務
  20. 著しく暑熱な場所における業務
  21. 多量の低温物体を取り扱う業務
  22. 著しく寒冷な場所における業務
  23. 異常気圧下における業務
  24. さく岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務

ちなみに、覚える必要は無いと思います(というか社労士の勉強として覚えるのは無理です)。


業務の雰囲気だけ感じ取って下さい。


危険そうな場所だったり機械だったり温度差が激しかったりする場合のようです。

妊娠中の女性の場合、本人が「就業したい」と言っても無理です。


おなかの赤ちゃんにも直接影響ありますので、妊娠中の場合は最も手厚く保護されています。


軽易な業務への転換も妊娠中の女性のみでしたよね。ただこちらは請求した場合の話ですが。

さて、産婦、つまり産後1年を経過しない女性の場合は、ほぼ妊娠中の女性と同じ業務に就業制限がありますが、次の2業務は可能になっています。

  • 土砂が崩壊するおそれのある場所又は深さが5m以上の地穴における業務
  • 高さが5m以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務

「おそれがある」だけで、現実に身体に影響を受けるわけでは無いから除外されているのでしょうか。

また、それ以外の22業務についても、産後1年を経過しない女性が申し出た等の場合に就かせてはならないことになってますが、当人が働きたいのであれば働いても問題はないようです。

でも、働かせないことについて申し出が必要ってのはどうなんでしょうかね。労使の力関係を考えると、申し出た場合にのみ働かせる、のほうが理にかなうと思うのですが。

まとめ

女性には、次の業務に就かせることができません。

  • 8~30kg以上の重量物を取り扱う業務(重量は、継続作業か断続作業か、女性の年齢が満16歳~18歳より上かどうかで異なります)
  • 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、シアン化水素、アニリンその他これに準ずる有毒物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

満18歳以上の女性は、坑内での掘削又は掘採の業務に就かせてはいけません。なお、18歳未満の者を坑内で働かせてはいけないルールもありますので、実質的にこれも女性が就けない業務になります。

妊婦、使用者に申し出た産婦は、坑内のすべての業務に就かせてはいけません。

妊婦は、危険有害な24業務に就かせてはいけません。


使用者に申し出た等の産婦は、危険有害な22業務に就かせてはいけません。

また、今回の話とは別に、妊産婦の労働時間等の制限についても復習しておきましょう。

今日は以上となります。ここまでお読み下さいましてありがとうございました。

免責事項 この記事の内容は個人が勉強のために調査した内容を記載したものであり、正確性を保証するものではありません。当記事の内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
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