引き続き、電験三種の過去問を解いていきたいと思います。
今日は電力の百分率インピーダンスの問題です。
なお、問題文については、一般財団法人電気技術者試験センターの以下のサイトで公開されている文章を引用します。
問題
【問題】令和2年度第三種電気主任技術者試験 電力科目 問8
問8 定格容量 20 MV⋅A,一次側定格電圧 77 kV,二次側定格電圧 6.6 kV,百分率インピーダンス 10.6 %(基準容量 20 MV⋅A )の三相変圧器がある。三相変圧器の一次側は 77 kVの電源に接続され,二次側は負荷のみが接続されている。三相変圧器の一次側から見た電源の百分率インピーダンスは, 1.1 %(基準容量 20 MV⋅A)である。抵抗分及びその他の定数は無視する。三相変圧器の二次側に設置する遮断器の定格遮断電流の値 [kA]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 1.5 (2) 2.6 (3) 6.0 (4) 20.0 (5) 260.0
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https://www.shiken.or.jp/answer/index_list.php?exam_type=30
検討
さて、どうでしょうか?
電流を求めるんだよね。二次側って言ってるから、6.6kVと20MVAを使えば……ええと、1750A? 一番近いのは(1)? まあ違うだろうけど……
確かに答えは(1)ではないですが、そこまで計算できれば立派なものです。そこから百分率インピーダンスを使えば曲がりなりにも正解の選択肢が選べてしまいます。
さて、この問題では遮断器の定格遮断電流を求めたいわけですが、百分率インピーダンスが与えられています。
百分率インピーダンスは、定格のインピーダンスを基準として短絡のインピーダンスがどうなるかの比です。
電流の比はインピーダンス比の逆数とみていいでしょう。
百分率インピーダンスを\(%Z\)、基準電流を\(I_{n}\)、短絡電流を\(I_{s}\)とすると、
$$%Z= \frac{I_{n}}{I_{s}} \times 100 $$
となります。
百分率インピーダンスの逆数は短絡比って言ってなかったっけ?
そういえばそうでしたね。電流の比として考えれば短絡比、インピーダンスの比として考えれば同期インピーダンスということでしょう。どちらも分母に定格の値がくる点について間違えないようにしましょう。
定格の時の電流値は問題文から求められるでしょう。
それと百分率インピーダンスを使って、短絡時に想定される電流を求め、そこまでは許容されるとして、それよりも上の値で遮断すると考えます。
百分率インピーダンスが2箇所にある場合の考え方は難しそうですが、基準容量をもとに調整した後で足し算をすることになります。今回は2箇所の基準容量が 20 MV⋅Aで揃っていますので、単純に足し算で良いようです。
では、定格の電流値は何でしょうか。
今回の問題では、二次側に設置する遮断器についての電流を求めるわけですので、二次側の定格電圧 6.6 kVと定格容量20 MV⋅Aから出します。
定格電圧\(V_{n}\)と定格容量\(P_{n}\)を使うと、基準電流\(I_{n}\)は例によって
$$P_{n}= \sqrt{3}V_{n}I_{n} $$
の式から出ますね。
解答
二次側の基準電流\(I_{n}\)は、以下のようになります。
$$I_{n}= \frac{P_{n}}{ \sqrt{3}V_{n}} =\frac{20 \times 10^{6}}{ \sqrt{3} \times 6.6 \times 10^{3}} = 1750 $$
また、電源と変圧器の百分率インピーダンスを合成すると、これらの基準容量が等しいことから、
$$10.6 + 1.1 =11.7 $$
となります。
これらにより、短絡電流\(I_{s}\)は、以下のようになります。
$$I_{s}= \frac{1750}{ 11.7/100 } = 14957[A] = 15[kA] $$
選択肢には15kAがありませんが、遮断電流はそれよりも大きくて最も近い値を選ぶようにします。
桁数間違いかと思って(1)を選ばないようにしましょう。
- 解答:4
今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。
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