今日は熟年離婚した場合の年金の話です。
老齢厚生年金で受け取ることができる金額は、自分が働いていた時の標準報酬により上下します。
なので、もし、専業主婦だった人や、労働は軽めだった人が離婚した場合、離婚後の老齢厚生年金は全く受け取ることができないか、低額しか受け取れないということになってしまいます。
とはいえ、労働はしていなかったとはいえ、その分家事をたくさんしたりして、配偶者の労働の助けになっていたケースが多いと思います。
そういった人が熟年離婚した場合に厚生年金をほとんど貰えなくなるのは不公平だという理由からでしょうか。婚姻期間の標準報酬を分割する制度が最近出来ました。
この制度には、合意分割と3号分割があります。
合意分割は対象期間を按分割合で分割、3号分割は特定期間を2分の1にする制度です。
ただし、3号分割の特定期間の対象は平成20年4月1日以降のみとなります。
例題
問題: 合意分割で離婚の翌日から2年が経過する前に家庭裁判所に調停の申立てをした場合、離婚後2年経過しても標準報酬改定請求が出来ますが、それは調停成立後いつまででしょう?
えーこの話、なんか複雑そうでよくわからないよ。1箇月とかじゃなかったっけ……
正解は「調停成立翌日から起算して6箇月以内」です。
そうだっけ……なんか苦手
社労士試験で苦手な分野を作るのはあまり良くないですよね。
出題される可能性が低いわけでも無いので、今一度しっかり復習しておきましょう。
記事の内容
この記事の内容
合意分割と3号分割の流れを復習する
想定する読者
- 1週間前の自分自身(社労士受験生)
- 私と同じような社労士受験生
合意分割と3号分割の流れ
合意分割と3号分割の流れを軽く復習しましょう。
3号分割の手続きは、実施機関に標準報酬の改定を請求するのみです。
合意分割の手順はやや複雑になっていて、以下の流れになります。
- 情報の提供の請求
- 話し合い
- 合意できない場合、家庭裁判所での調停・審判
- 標準報酬改定請求
この、標準報酬改定請求が、つまり年金の分割ということになります。
この標準報酬改定請求は、離婚をした時から2年以内にする必要があります。
裁判所での調停・審判がもつれた場合
話し合いで合意できた場合や3号分割の場合、先ほどのルールであまり問題はありません。
もし離婚から2年を過ぎてしまったら分割の権利がなくなってしまいますが、それは手続きが遅れた自分自身の責任です。
けれど、家庭裁判所での調停や審判が絡んでくると、2年で結論がでない可能性も出てきます。
裁判の審判の結果が出たからといって、すぐに年金分割されるわけではありません。
結果が出た後で、実施機関に対して標準報酬改定請求をして、はじめて分割が確定するのです。
「標準報酬改定請求」が出来るのは、原則として離婚してから2年。
裁判所の審判が長引いて、結果が出た時には離婚から2年過ぎていた、という可能性は充分あります。
でも、それで請求権利がなくなってしまうのはちょっとひどいですよね。
そこで、たとえ2年が過ぎていても、審判等が確定してから一定の期間は標準報酬改定請求が可能なことになっています。
以前はその期間は1箇月でした。
けれど令和2年に法改正が行われて、その期間が6箇月に伸びました。
調停の成立等の日の翌日から起算して6箇月までは、合意分割による標準報酬改定請求をすることが出来ます。
まとめ
3行で
- 熟年離婚した場合の年金分割には合意分割と3号分割がある
- どちらも標準報酬改定請求の期限は離婚後2年
- 合意分割で調停や審判になった場合、その翌日から6箇月までは標準報酬改定請求が可能
今日は以上となります。ここまでお読み下さいましてありがとうございました。
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