引き続き、電験三種の過去問を解いていきたいと思います。
今日は機械の直流他励電動機の問題です。
なお、問題文については、一般財団法人電気技術者試験センターの以下のサイトで公開されている文章を引用します。
問題
【問題】平成24年度第三種電気主任技術者試験 機械科目 問2
問2 直流他励電動機の電機子回路に直列抵抗 0.8 [Ω]を接続して電圧 120 [V]の直流電源で始動したところ,始動直後の電機子電流は 120 [A]であった。電機子電流が 40 [A]になったところで直列抵抗を 0.3 [Ω]に切り換えた。インダクタンスが無視でき,電流が瞬時に変化するものとして,切換え直後の電機子電流 [A]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,切換え時に電動機の回転速度は変化しないものとする。また,ブラシによる電圧降下及び電機子反作用はないものとし,電源電圧及び界磁電流は一定とする。(1)60 (2)80 (3)107 (4)133 (5)240
Copyright (C) 2008 ECEE.
https://www.shiken.or.jp/answer/index_list.php?exam_type=30
検討
さて、どうでしょうか?
電流が40Aの時に抵抗が0.8から0.3に減ったんだよね。ってことは電流は増えるんだよね。40かける(8/3)で、……(3)かな?
直流電源120Vを完全に無視しましたね。まあ色々試行錯誤してみるのはいいことだと思いますが。
この手の問題は等価回路を書くことが基本のようですが、このブログでは書いたことにしておきます。
直流他励電動機のポイントは、界磁側と電機子側が別回路になる点です。
つまり、この問題では界磁側はひとまずは考えないで進められます。「界磁電流は一定とする」とあるので、仮にもし必要が出てきたら\(\phi\)を定数として置いてしまえば良いです。
直列の直巻、並列の分巻との違いを押さえてしまいましょう。
なお、問題文によると電機子回路に直列抵抗 0.8 [Ω]が接続されていますが、電機子巻線が本来持っている電機子抵抗のほかに0.8 [Ω]を接続していることになることに注意して下さい。
解答
さて、ということで電圧降下の式を立ててみます。
「始動直後」については、回転子が動き始めた瞬間であり、誘導起電力(逆起電力)がまだ発生していないものとみなします。
ということは、電機子抵抗を\(r\)とするならば、電源の電流が120 [V]、そして直列抵抗 0.8 [Ω]が接続されていますので、
$$120= (r + 0.8) \times 120 $$
従って、\(r=0.2\)が求まります。
電機子電流が 40 [A]になった時には誘導起電力(逆起電力)\(E\)が発生していますが、その大きさは以下のようになります。
$$E= 120 – (0.2 + 0.8) \times 40 = 80[V] $$
ここで、瞬間的に直列抵抗が0.8 [Ω]から0.3 [Ω]に変化しました。この直後は回転速度は急には変化しないものとするので誘導起電力も変化しないものとします。
とすると、この時の電機子電流を\(I\)とすれば、以下の式が成り立ちます。
$$80= 120 – (0.2 + 0.3) I $$
これを解くと、
$$I= 80 $$
となります。
- 解答:2
今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。
免責事項 この記事の内容は個人が勉強のために調査した内容を記載したものであり、正確性を保証するものではありません。当記事の内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。