引き続き、電験三種の過去問を解いていきたいと思います。
今日は機械の直流電動機の問題です。
なお、問題文については、一般財団法人電気技術者試験センターの以下のサイトで公開されている文章を引用します。
問題
【問題】平成27年度第三種電気主任技術者試験 機械科目 問1
問1 4極の直流電動機が電機子電流250 A,回転速度1200 \(min^{−1}\)で一定の出力で運転されている。電機子導体は波巻であり,全導体数が258,1極当たりの磁束が0.020 Wbであるとき,この電動機の出力の値 [kW]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,波巻の並列回路数は2である。また,ブラシによる電圧降下は無視できるものとする。
(1) 8.21 (2) 12.9 (3) 27.5 (4) 51.6 (5) 55.0
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https://www.shiken.or.jp/answer/index_list.php?exam_type=30
検討
さて、どうでしょうか?
これ、たぶん公式を使うんだけどまだ覚えてないや。適当に掛け算と割り算すれば出てこないかな?
数値が色々出てくるので公式に当てはめれば解けそうですよね。今月はまだまだ基本公式を覚える段階。これから一つずつ覚えていきましょう。
直流機は電機子が回転し、誘導起電力が発生します。
この問題で求めるのは出力[kW]ですが、まずは直流機の誘導起電力の公式で起電力[V]を求めましょう。
解答
直流機の誘導起電力の公式は以下のようになります。
極数を\(p\)、電機子の全導体数を\(z\)、並列回路数を\(a\)、1極当たりの磁束を\(\phi \)、回転速度を\(N [min^{-1}]\)とすると,誘導起電力\(E\)は、
$$E= \phi ・\frac {p z}{a}・\frac {N}{60} $$
となります。
この中で\(\displaystyle \frac {N}{60}\)の部分は、要は分速を秒速に直しただけですし、\(\displaystyle \frac {p z}{a}\)の部分は、要するに起電力に寄与する導体の数のようなイメージです。実際に直流機を見てみないとイメージが沸かないのですが、並列にした数だけ分散されるということで、最初はとりあえず並列回路数\(a\)だけが分母にきていることに注意しておきましょう。
この公式には\(\pi\)は登場しません。回転するわけですから\(\pi\)も登場しても良さそうなものですが、公式の導出段階でキャンセルされているようです。
とりあえずこの公式に問題文の数値を当てはめて計算してみましょう。
$$E= 0.020 \times \frac {4 \times 258}{2} \times \frac {1200}{60} = 206.4[V]$$
ということで起電力が計算できました。
電機子電流250 Aも与えられていますので、出力\([W] \)は掛け算するだけです。
$$206.4[V] \times 250 [A] = 51600[W] = 51.6[kW]$$
- 解答:4
今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。
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