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互角の実力で5勝するまでに負ける回数【めざせ統計検定!】

数学・理科・農業等

統計検定の勉強記事が続きます。

前回は、ソーシャルゲームにハマったしなのですが……

今度は、なぎささんとの対戦ゲームにハマったようです。

二人の実力は全くの互角。
今日は、なぎささんに5勝するまで続けるんだ!と張り切るしなの。

問題

しなのさんとなぎささんの実力が同じ場合に、しなのさんが対戦ゲームでなぎささんに5勝するまで続けた場合、しなのさんは何回負ける可能性が高いでしょう。

ただし、二人それぞれが勝つ確率は、それまでの対戦成績に無関係に\(\frac{1}{2}\)ずつとします。また、仮になぎささんが先に5勝しても、しなのさんが5勝するまではゲームを続けるものとします。

 

……ってことは、5勝1敗とか5勝2敗の可能性もあるし、もし私が負け続けたら5勝10敗とかになる可能性もあるよね。

互角の実力なので普通はそこまで極端にはならないとは思いますが、どちらかが連勝する可能性自体はありますよね。

えっと……
二人とも勝つ可能性が同じなら、やっぱり5勝5敗になる可能性が高いんじゃないかな?

もし仮に4勝4敗になったとして、しなのさんが勝てば5勝4敗で終了ですが、私が勝てば5敗で終わらずさらに負ける可能性もありますよね。5敗より4敗のほうが可能性は高いのでは?

実際に計算してみましょう。

負の二項分布

成功確率が決まっている事象について、ある回数成功するまでに失敗する回数は、負の二項分布と呼ばれる確率分布に従います。

成功する確率を\(p\)、失敗する確率を\(q(=1-p)\)、成功する回数を\(n\)とすると、失敗する回数\(k\)の確率分布は、

\(f(k)={}_{n+k-1} C_k \times p^n q^k\)

と表せます。

これは、まず\(n\)回成功する直前の\((n-1+k)\)回実行した時点で、成功回数が\((n-1)\)回で失敗回数が\(k\)回になっていた確率を考えてみます。この場合、普通の二項分布により

\({}_{n-1+k} C_k \times p^{n-1} q^k\)

で表せますが、次の回で確率\(p\)で成功した場合が、この負の二項分布になっています。負の二項分布の場合、「〇回成功した時点」なので「最後は成功」という縛りがあります。

さて、今回、しなのとなぎささんのどちらが勝つ可能性も\(\frac{1}{2}\)ですから、\(p=q=\frac{1}{2}\)。
最終的にしなのが勝つ回数は5回と決まっていますので、\(n=5\)とします。

すると、しなのが負ける分布はこうなります。

\(f(k)={}_{4+k} C_k \times \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{5+k}\)

負ける回数の順に計算してみます。

5勝0敗となる可能性は、

\(f(0)={}_{4} C_0 \times \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{5}=1 \times \displaystyle\frac{1}{32} = \displaystyle\frac{1}{32} = 0.031 \cdots\)

5勝1敗となる可能性は、

\(f(1)={}_{5} C_1 \times \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{6}=5 \times \displaystyle\frac{1}{64} = \displaystyle\frac{5}{64}= 0.078 \cdots\)

5勝2敗となる可能性は、

\(f(2)={}_{6} C_2 \times \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{7}=15 \times \displaystyle\frac{1}{128} = \frac{15}{128}= 0.117 \cdots\)

5勝3敗となる可能性は、

\(f(3)={}_{7} C_3 \times \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{8}=35 \times \displaystyle\frac{1}{256} = \displaystyle\frac{35}{256}= 0.136 \cdots\)

5勝4敗となる可能性は、

\(f(4)={}_{8} C_4 \times \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{9}=70 \times \displaystyle\frac{1}{512} = \displaystyle\frac{35}{256}= 0.136 \cdots\)

5勝5敗となる可能性は、

\(f(5)={}_{9} C_5 \times \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{10}=126 \times \displaystyle\frac{1}{1024} = \displaystyle\frac{63}{512}= 0.123 \cdots\)

5勝6敗となる可能性は、

\(f(6)={}_{10} C_6 \times \left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{11}=210 \times \displaystyle\frac{1}{2048} = \displaystyle\frac{105}{1024}= 0.102 \cdots\)

以下省略しますが、7敗以上する可能性はどんどん小さくなるはずです。

なお、0敗~4敗の確率を全て足すと\(\frac{1}{2}\)になることに注意して下さい。
これは、しなのがなぎささんより先に5勝する確率を表しています。
なぎささんが先に5勝以上した場合は、しなのは当然5敗以上ですね。
こちらは無限数列の和になりますが、やはり\(1-\frac{1}{2}=\frac{1}{2}\)になるはずです。

実力が互角という設定なのでどちらが5勝以上する可能性も同じになるわけです。

そして、見てわかる通り、3敗の可能性と4敗の可能性が等しく最大です。


ということで、例題の想定解答は、「3回と4回が同確率で最大」となります。

えー、互角なのに3敗か4敗が最大って、何だか変じゃない? 5勝4敗はともかく、5勝3敗が最大っていうのは……

まあ、理屈を考えてみましたけどちょっと難しそうなので、数式で証明したほうが早そうです。

kが1だけ変化した隣の項との比を考えて、それが1より大きくなるかどうかで判断します。

もっとも、慣れないせいか、どうもブログの数式を入力するのに時間がかかるので、これは後日に回そうと思います。

早く慣れて下さいね。

期待値

負ける回数の期待値を出してみましょう。

今回の問題はしなのが5勝するまで続ける設定でしたが、もし、しなのが「1勝」するまで続ける話だったとするなら、「1回当たりを引くまで外れる回数」と同じになります。

これは、「当たりの確率も外れの確率も0.5」の幾何分布と同じになります。

幾何分布の期待値は「外れる確率÷当たる確率」ですから、「1勝するまでに負ける回数」の期待値は1回ですね。

負の二項分布の期待値は、幾何分布の期待値に回数をかければ出ます。
なので、しなのが5勝するまでに負ける回数の期待値は1×5で「5回」となります。

1勝するまでに平均1回負けると想定されるのだから、5勝するまでに平均5回負けることが想定されるわけです。

先ほどの例題では、可能性が高い回数が3回・4回となりましたが、期待値は5回です。
一般的な統計でも、最頻値より平均値が高くなるなどよくあることです。

同様に、分散も幾何分布の分散を5倍します。

分散から標準偏差を出せば、仮になぎささんが何勝したら二人の実力は互角ではないと判断できるかがわかりそうですが、このあたりは「検定」をきちんと勉強してから振り返ってみたいところです。

まとめ

成功確率が決まっている事象について、n回成功するまでに失敗する回数は、負の二項分布に従います。

成功確率がちょうど\(\frac{1}{2}\)の場合、5回成功するまでに失敗する回数は3回と4回の可能性が高く、失敗する回数の期待値は、5回になります。

今日は以上となります。ここまでお読み下さりありがとうございました。

免責事項 この記事の内容は個人が勉強のために調査した内容を記載したものであり、正確性を保証するものではありません。当記事の内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
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