今週、ユネスコの世界遺産委員会により、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録が相次いで決定しました。
おめでとー!
おめでとうございます。日本で24・25件目の世界遺産ですね。
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は5件目の自然遺産、「北海道・北東北の縄文遺跡群」は20件目の文化遺産です。
なお、今日のアイキャッチの画像は世界遺産検定に合格したらもらえるカードです。
名前を隠してるメモ帳はセイカちゃんだよね! もう覚えたよー!
私は2018年に世界遺産検定1級を取得、2019年には1級のリスタ試験にも合格してますので、1級ホルダーの立場から、今回登録された世界遺産について、世界遺産検定への出題がどうなるかの視点でコメントしようと思います。
記事の内容
この記事の内容
- 今年登録された世界遺産が世界遺産検定で出題されるかどうか
- 今年登録された2つの世界遺産の簡単な概要
想定する読者
- 世界遺産検定を受けようと思っている人
世界遺産委員会について
世界遺産委員会は毎年7月頃に開催されます。
各国から推薦された候補について協議を行い、そこで世界遺産に登録するかどうかが決まります。
以前は1つの国から複数個推薦することもあり、日本でも同時に複数の世界遺産が登録されたことも時々ありましたが、現在は基本的に1つの国あたり1年につき1件の推薦となります。
ただし、2020年に行われる予定だった世界遺産委員会は新型コロナの影響で中止となり、今年、拡大第44回世界遺産委員会として、オンラインの形式で開催されました。
そのため、今年は2020年推薦分と2021年推薦分の2件が推薦されることになりました。
なお、今まで1級は世界遺産委員会の開催予定国の世界遺産が出題されることがよくありましたが、今回オンラインになったためどうなるかは微妙です。
もっとも、中国の世界遺産は委員会の有無に関わらず出題されないはずが無いですし、当初2021年の予定されていたウガンダについては世界遺産の数が少なくて覚えやすいですので、今年1級を受ける予定の人はしっかり覚えておきましょう。
また、来年の開催動向もチェックして、もし開催予定国が決まったらその国の世界遺産を優先的に覚えておくと良いと思います。
世界遺産検定対策
世界遺産検定には、その年に登録された世界遺産も出題されます。
世界遺産検定を今年受ける予定があるなら、1級~4級どの級を狙うにしても、この2件については必ず押さえる必要はあります。
おそらく、7月の検定でも、今年日本から推薦されたこの2件については、少なくとも一方は出題されたと思います。
ただ、どの程度深く押さえておくべきかは級によって違います。
世界遺産の正式名称と存在する都道府県については、どの級を受ける場合でもきちんと覚えて下さい。
1・2級であれば、登録基準の何番によって推薦されたかもしっかり覚えておきましょう。
1級であれば、その年に登録された世界遺産は、日本以外のものも押さえる必要があります。
世界遺産名と国名をセットで押さえて、できれば登録基準の番号と簡単な概要も押さえておいたほうが良いでしょう。
全部で千個以上ある世界遺産のうち数十個。その中からほぼ確実に出題されるはずですが、新しい世界遺産は発行済みのテキストに載っていないのがネック。
wikiなどで一通りチェックしおきましょう。
私が1級を受けたのは、第42回世界遺産委員会に対応する12月でした。
その年に登録された日本の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」も出題されてましたが、むしろイタリアの「20世紀の産業都市イヴレーア」が出題されたのを覚えてます。参考書に載ってないけど自力でチェックしたものが出題されるのはかなり嬉しいです。
2級は、どの世界遺産が2級の範囲に入るか不明瞭なので、「2級に受かる」というのが目標であれば、日本以外の世界遺産は優先度が低くなります。
出題範囲と配点を考えると、当年度登録された世界遺産を全く知らなくても2級に受かることは十分可能です。
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」
- 登録基準
- (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。
鹿児島県から沖縄県にかけての4つの島が登録されました。
かつて琉球列島はユーラシア大陸の一部でしたが、地殻変動によって島に分断されました。
この区域には、亜熱帯の照葉樹林やマングローブ林が広がっています。奄美大島と徳之島のアマミノクロウサギ、沖縄北部のヤンバルクイナ、西表島のイリオモテヤマネコのように、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに記載されている絶滅危惧種が95種も生息しています。
1級を受けるのであれば、島に生息している動物名は覚えておきましょう。「アマミノクロウサギ」は語呂が「いなばのしろうさぎ」に似ていて覚えやすいですね。ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコも知名度は高いですので、下の級でも出題される可能性はありそうです。
「知床」に続く登録基準(10)になります。また、日本の自然遺産は今までの4つはいずれも登録基準(9)が含まれていましたので、初の(9)ではない自然遺産となります。
- (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
- (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。
「北海道・北東北の縄文遺跡群」
- 登録基準
- (3)「現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠」
- (5)「ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例」
縄文時代を代表する遺産群です。
北海道・青森県・岩手県・秋田県の1道3県に点在しており、17個の遺跡で構成されています。
1万年以上もの間、農耕せずに定住して、埋葬や祭礼といった縄文文化の痕跡を残しているとのことです。
登録基準の(3)は, 「現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠」です。
以前は日本にはそれほど多くなかったのですが、最近の文化遺産は連続して(3)により選ばれており、もはやマイナーとは言えなくなってきました。
登録基準の (5) は,「ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例」です。
こちらは、これまで日本では「白川郷・五箇山の合掌造り集落」「石見銀山遺跡とその文化的景観」しかありませんでしたので、3個目の(5)となります。問われる可能性は充分あります。1級であればもちろん、2級でも覚えておきましょう。
まとめ
今年登録された2つの世界遺産。
今年から来年にかけて世界遺産検定での出題は大いに考えられます(逆に出題されない可能性のほうが低いと思います)
世界遺産検定にチャレンジするなら、ぜひ興味を持ってしっかり調べておきましょう。
1級を目指すなら、海外で登録された世界遺産のチェックもお忘れなく。
今日は以上となります。ここまでお読み下さいましてありがとうございました。