労働基準法。社労士試験の最初の科目だけに基本的な論点は落とせません。
とはいえ、数字を覚えるのは大変ですね。
こんにちは。セイと申します。
このページでは社労士試験に独学で合格を目指すため、忘れがちな内容を発信しています。
今日は、労働基準法から、変形労働時間制と36協定に登場する暗記が必要な数字を復習していきましょう。
記事の内容
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変形労働時間制と36協定に登場する時間数や日数を復習する
想定する読者
1週間前の自分自身(社労士受験生)
私と同じような社労士受験生
例題
問題: 労働基準法の36協定によると、特別条項も変形労働時間制もない場合、1箇月あたりの時間外労働は何時間までにするべき?
- 45時間
- 60時間
- 80時間
- 100時間
ええと確か、60時間を超えたら割増賃金率が変わるんだよね。特別条項ってなんだっけ……忘れた。とりあえず、60時間?
正解は「45時間」です。
時間数って出てくる場所によって数字が色々で混乱するよ……
特別条項がなければ45時間。特別条項があっても、1ヶ月あたり100時間未満、2~6ヶ月で月平均80時間以下になることが決められています。
でも、52時間や160時間という数字もどこかで見た気がするでしょう。
一つの条文を勉強している時は理解していても、いろいろ勉強して後で振り返ると、どうしても混ざってしまいます。
ここで時間数を整理しておきましょう。
変形労働時間制
1箇月単位の変形労働時間制
1箇月単位の変形労働時間制には、覚えるべき数値は特にありません。
いや、もちろん数値自体はあります。制度名自体、「1箇月単位」と数字が入ってますし。
でも、週○○時間とか、あえてこの法律のためだけに覚える数値はない、ということです。
ただし、年少者の分野で、48時間働ける規定はあります(1年単位と共通)。
フレックスタイム制
- 週50時間を超えない範囲で労働させることができる
このくらいですかね。フレックスタイム制は、名前が独特なので有名ですが、他の変形労働時間制に比べて会社での採用率が低い制度なので盲点になりがちです。注意しておきましょう。
1年単位の労働時間制
厚生労働大臣は労働政策審議会の意見を聞いて、対象期間における「労働日数、1日・1週間の労働時間」の限度を定めることができる、という話と一緒に覚えておきましょう。
- 労働日数 280日 (対象期間が3箇月を超える場合)
- 1日 10時間
- 1週間 52時間
なぜかこの280日という数値を忘れがちです。選択式で300日などを選びそうになりますが、1年は365日しかないので、もし300日だとしたら「日曜+祝日」を休むだけでギリギリになってしまいますよ!
「日曜+祝日+有給休暇日数」で休みが85日くらい、という感じで覚えておきますか。(365-85=280)
まあ日曜だけ休みよりも週休2日取れるほうがいいですけどね。
1週間単位の非定型的変形労働時間制
1日で10時間まで働けるやつです。労働者数は30人未満。
「労働時間の特例」と混乱しないように。こちらは10人未満。
労働時間の特例と1週間単位の変形労働制とを比較してみましょう。
- 労働時間の特例「シ・エン・ホ・ゴ」(商業・演劇・保健衛生・接客娯楽)10人未満・週44時間。
- 1週間単位の変形「小・リ・リ・イ」(小売業・旅館・料理店・飲食店)30人未満・1日10時間
食べ物関係が多いほうがニク(29人=30人未満)と覚えておきましょう。
余談ですが、料理店と飲食店の違いって、普通にディナーで入るような店が飲食店で、芸者さんがつくような店が料理店らしいですね。
宅建の勉強で出てくるらしいです。
36協定
ここからは、「時間外労働」の時間になります。
普通に労働して、さらに残業がどれくらい出来るかという話になるので、まずそこはしっかり区別しましょう。
さて、ここの「限度時間」が異常に覚えづらい。
でも覚えなくちゃですね。労働基準法は最初の章なのでみんな勉強するので救済が入りづらいんです。
36協定での時間外労働の限度時間の原則
原則は以下の通りです。
- 1箇月 45時間
- 1年 360時間
ただし、1年単位の変形労働時間制(対象期間が3か月よりも大)の場合は以下の通りです。
- 1箇月 42時間
- 1年 320時間
この制度だけやや短くなっているのは何故なんでしょうか。年単位だから特定の季節だけ仕事が集中しやすいから少しルールを厳しくした、とかですかね。
特別条項の場合
特別条項を定める場合、特別条項で決めた時間が最大となり、限度時間を超えることができます。
ただ、特別条項という名前の通り、いろいろ決めなくてはいけません。
- 1箇月あたりの時間(100時間未満)
- 1年あたりの時間(720時間まで)
- 限度時間の45時間(42時間)を超えることが出来る月数(1年につき6箇月まで)
その他、限度時間を超えられる場合や、手続き、健康・福祉の措置も決める必要があります。
特別条項で最大時間が決まるので、法律に「100時間未満」とあるからと言って、「じゃあ99時間なら残業してもいいんだ」とはならないんです。
ただ、労働安全衛生法でも100時間が出てきますね。研究開発業務事業者と高プロの健康管理時間で面接指導をする必要がある時間です。
こちらは「100時間を超える」となっていて、100時間ちょうどの場合は面接指導はしなくて良いことになっています。
時間の使い方を任せてるんだから100時間程度なら自己責任なんでしょうかね……
もちろん、研究開発の人でも、80時間を超えて疲労の蓄積がある場合、申し出さえすれば面接指導してもらえます。
業務上の疾病で出てくる時間
最後に、恐るべき「1箇月160時間」の話(もちろん残業時間の話です)
これは、労災の「心理的負荷による精神障害の認定基準」で出てきます。
脳・心臓疾患で業務との関連性
- 1~6箇月の間に、1箇月あたりおおむね45時間を超え、時間外労働が多くなるほど業務との関連性が強まる
逆に言えば、45時間以下なら労働時間についての関連性は評価されなさそうです。
- 1箇月におおむね100時間、2~6箇月に1箇月あたりおおむね80時間を超える時間外労働があれば、関連性が強い
「おおむね」なので、100時間ぴったりだとどうか、という点は問題にはされなさそうです。文章通りに解釈するなら「100時間ぴったり」なら関連性は強くないようにも読めますが。
心理的負荷による精神障害の認定基準
以下の場合、心理的負荷の強度は「強」とされます。
- 1箇月におおむね160時間
- 2箇月連続して1箇月当たりおおむね120時間
- 3箇月連続して1箇月当たりおおむね100時間
とりあえず「脳疾患より精神障害強度のほうが時間が長い」という点は押さえておきましょう。
それにしても、労働基準法で「100時間未満」と決めておきながら労災の基準でこれだけ長い基準があるというのは腑に落ちないですが、これが現実ということなんでしょうか。
まとめ
労働時間について、最低限以下は押さえましょう。
- フレックスタイム制……週50時間
- 1年単位の労働時間制……280日/1日10時間/週52時間
ここから先は時間外労働です。
- 36協定の原則……月45時間/年360時間(42時間/320時間)
- 36協定の特別条項……月100時間未満/年720時間
- 労災:脳疾患……月100時間/精神障害……月160時間
今日は以上となります。ここまでお読み下さいましてありがとうございました。
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